2011年3月31日木曜日

絆の回復が復興の道

東工大の上田准教授からこんなメールがきました。
上田さんのお宅もこの震災で大変なんだなー
と思うと同時にさすが上田さん
この震災をきっかけに日本再生を指導していただけると思います。この思いは郡上のみなさんも一緒ですね。

そうそう上田 紀行准教授の奥様はあの有名なNHKの美人アナウンサーの竹内陶子さんです。昨年双子の赤ちゃんが生まれました。
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皆さまお元気でしょうか。上田紀行です。
上田家は乳児二人幼児一人と妻を四国に疎開させ、在宅看護中の母と私が東京残留です。

昨日の毎日新聞朝刊・文化欄〈大震災が問う生き方の転換〉に、「社会への信頼ー絆の回復が復興の道」を寄稿しました。新聞としては長い1700字の原稿です。
この間の思い、そして今後の展望を書きました。
下記のリンクに、記事のコピーがあります。
http://www.valdes.titech.ac.jp/~ueda/mainichi1103.html
また、テキストも以下に貼り付けておきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
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何度も泣いた。何度も心が萎えそうになった。どうしてこんなことが起こってしまったのか。荒れ狂う津波、廃墟となった町々、困窮する被災者の人たち、それが夢であればいいと何度も思った。
このショックを何とか受けとめようと、そして被害から逃れ東京にいる私に何ができるのかを、ツイッターやメールで仲間と発信しあっているときに、福島第一原発の事故がふりかかってきた。乳児と幼児の娘達、在宅看護の母を持つ私は、時々刻々と変化する状況に取り込まれ、更なる大きな葛藤をもたらした。震災の被害には、現地に出向けないものの、何らかの支援はできる。しかし原発の事故は、破滅的なものにならぬよう、ただただ願うことしかできないのだ。

東京の店々から商品がどんどん消えてなくなっていく風景も悲しかった。不安になったら買うしかない。貯め込むしかない。本当の安心は、助け合い、分かち合う人の絆
からしか生まれないのに、この風景は何だろう。隣人が信頼できない、隣人よりも早く買い占めなければと思ってしまう、私たちの「豊かな」社会の貧しさはいかばかりだろうか。
しかし、刻々と悪化していく原発の状況を見ながら、買いだめに走る人たちも責められないとも思った。「何重もの安全装置があり、絶対大事故は起きません」とあれだけ聞かされていた原発が目の前で爆発し、放射能を放出している。それでもテレビでは、コメンテーターが「まだまだ安全です」と言い続ける。いったい何を信じて生きていけばいいのか、と誰もが思う。そして社会への信頼が失われれば、頼れるものは自分の蓄えしかないのだ。

この震災は、これまでの日本社会のあり方、国家像を根本的に変える大きなきっかけになるだろう。社会への不信、それ故の利己的行動、そして絆の喪失。繰り返され
てきたこの悪循環を止め、信頼を回復することなしには、復興は成し遂げられないと思う。
そのためには、まず被災者の徹底的な救済が必要だ。またその救済によって、他の
社会的弱者にしわ寄せが行くことはぜったい避けなければならない。それは私たち国民全体の大きな決意を要求するものだ。しかし、肉親も友人も家も財産も失っても、
支援によって立ち直れるのだということ、それはこの社会に信頼があること、支え合う隣人がいることを、私たち自身に、そして次世代の若者や子ども達に示す、かけがえのない行為となるはずだ。

そして、この社会の「見えない構造」を明るみに出すことだ。他の原発の安全性の見直し、そして原発事故を招いた、情報と利権の隠された構造が徹底的に検証される
ことが必要なことはいうまでもない。そして、それに加えて、私たち自身の「隠された意識」にも気づくことが必要だろう。
私自身、二〇数年前のエコロジー隆盛の時代に、今日の状況をもたらす原発の問題点を知ってはいた。しかし、東京電力の原発が管轄外の新潟と福島にあるように、原
発は距離的に遠く、さらに「過疎の地域の人たちが危険と引き換えに豊かになる道を選択したのだから」といった、隠れた合理化によって、原発を意識から消し去ってい
たのだと、いま気づかされた。都合の悪い事実を隠して見えなくするのは、私たち自身の意識の特性でもあるのだ。

私たちに必要なのは「ビジョン」である。数万人にも及ぶ死者、数十万人の被災者、甚大な物理的被害は、今後何年間も「対応に追われる」状況を生み出し続けるだろ
う。
しかし、それを「追われる」と受動的に捉えるのか、ビジョンを持って新しい社会を創り出すプロセスと捉えるのかで、実質は異なってくる。例えば、被災者を受け入れ、
市とNPO等の官民一体で、地域の人たちとの交流の中で生活相談や自立支援に取り組む「『絆』プロジェクト北九州」には、単なる対応ではなく、新しい地域創造というビ
ジョンがある。 亡くなった方々がひとりひとり大切に供養されること、被災者の方々の声に時間をかけて耳を傾けること、救助、支援に献身している人たちに心からの感謝を伝え、そして私たちも長期にわたっての支援の覚悟を持つこと。そうしたひとつひとつの行為と思いが、この国の新しいビジョンをひらいていくことを心から願いたい。

2011年3月6日日曜日

神山特産・旬感工場プロジェクト開催

神山特産・旬感工場プロジェクトとは?

神山の人たちで神山特産ブランドを生み出すための「しくみ」をつくるプロジェクトです。

 この「しくみ」が今後、生産者、加工者、販売者の方々や地域でクリエイターをめざす人たちの人材育成や雇用の創出、神山の移住・定住に繋がることを目的としています。
 神山ならではの特産開発の「しくみ」をつくるためにどうしたらいいか?神山の人たちと、神山の魅力を客観的な視点で捉える外部のクリエイターたちとの恊働作業で、今までにないような仕組みづくりに取り組んでいます。


<第1回目の取り組み>

 神山特産・旬感工場プロジェクト 第1回目に取り組んだ特産は「すだち」。すだちをテーマに旬感工場プロジェクトでは2つの企画をしました。
ひとつは神山の人々にとって身近なすだちの魅力を再発見するコンテスト「すだち de ○○○」の開催。もう1つは神山温泉をモデルケースに商品開発を実施している、神山特産のすだち飲料の試作・開発です。

 そして、第1回 神山特産・旬感工場プロジェクトは3月6日(日)に、中間発表として食のイベントを開催します。

会場:ふれあい茶屋(神山温泉隣ふれあい公園内)
料金:無料