2010年8月30日月曜日

『いのちの食べかた』

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)
森 達也
理論社

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「いのちの食べ方」 森 達也を読んだ。

子ども向けの「よりみちバン!セ シリーズ」だ。

ちょっと読んでみた、という感じだが、「A」などのドキュメンタリーで話題の森達也さんが、「食べる」ということから、肉はどこからくるか、食肉の屠殺場のこと、そして屠殺にかかわる被差別部落問題にいたるまでを、小学生に説明するように、丁寧に分かりやすく説明している。

牛の屠殺のシーンは、本当に血のにおいがしてくるようだ。そして部落問題、差別の問題、マスコミの問題についても、本質を逃すことなく、極限まで簡単に、分かりやすく、子どもに納得がいくように書かれている。

これは、考えてみるととんでもなく大変なのだが、やっぱり森さんは「知らないことが問題だ」という考え方で、一生懸命わかるように説明している。


普段何気なくスーパーなどで売っている牛肉や豚肉がどのようにして解体され、ラッピングされた状態になっているのかを我々はあまり知らない。

だから生命を殺して得ている食料を「生命の死」から離れたところのものに感じている。

それでは生命のもつナマナマしさを感じることはできず、ひいてはその大切さも疎かになりかねない。

本書ではじゃあまずはそれを知ることからはじめようという本。

そして知らないことの恐ろしさもまた教えてくれる。

知らないことで過ちの連鎖が今も続いている事例など、とても考えさせられる。

中学生ぐらいから読める内容で、文章も読みやすい。でも書いてあることはとても重要で重大なこと。

大人が読んでもとても考えさせられた。

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